電子工作初心者がジャンパーピンで回路作成

 7. 三本足部品:トランジスターを組み込む

目的

前回までにLED、CdS、抵抗器を「ジャンパーピンボード」基板に組み込んだ(と言うほどでもないが)。これらは二本足だからジャンパーピンで接続するのは簡単だ。ではもっと脚の多い部品ならどう組み込む?他の部品とどう配置する?クモの巣のようにリード線を張り巡らせたブレッドボード回路のようにか?そうではなく、できるだけ回路図に近く、見てわかりやすい部品配置にしたい。ICなどの多端子部品をジャンパーピンボードに組み込むための取っ掛かりとして、まずは三本足のトランジスターに挑戦する。トランジスターの基礎も学習する(名前だけで、他はな~んも知らないからね)。さらにその回路を使って、”なんとなく”実用的なものを作る。「hfe測定器」、「LED点灯器」と「導通試験器」。ここからはちょっとは”回路”っぽくなるかも。
  トランジスターはふつう3本足で、各々エミッター(E)、コレクター(C)、ベース(B)と呼ばれる。コレクターは電源の(+)に、エミッタ―は(-)に、ベースには抵抗器を介して(+)に接続する。で、その働きは?通常、C/E間だけに電圧をかけても電流は流れないが、ベースに小さな電流(Ib)を与えるとコレクターに大きな電流(Ic)を流してくれる(Ic/Ib=hfe 増幅率)。この性質を利用して、回路のスイッチ代わり、また電流の増幅器として使われる。・・・というのがトランジスターの”当面”の基礎知識、とも言えるかも。

材料と方法

①トランジスター:2SC1815L-Y 60V 150mA (100円/20個、秋月)。NPN型、高周波・小電力用。hfe:120-240
②LED:高輝度白色5mm(OSPW5111B-QR)、 If 30mA (100円/5個、秋月)。高輝度赤色5mm(OSR7CA5111A)、If 50mA (150円/10個、秋月)。
③抵抗(1/4W炭素被膜):0.33kΩ~470kΩ(秋月)。各数値は下記参照。
④電子ブザー(発振回路内蔵):PB04-SE12HPR、14mmΦ、3-16V、最大定格電流 10mA、4000Hz。(100円/1個、秋月)
⑤電源:電池は百均LEDライトから取り出したLR44(アルカリボタン電池)。3個で実測5V。電池ボックスは透明プラスチック下敷き(百均商品)をカット・接着(瞬間)して自作。
⑥ジャンパーピンボード作製は第3回( 3.新しい回路基板材?)と同じ。すなわち、接着面をやすりで平らにし、接着剤でくっつけ、プラスチック小片に、さらに小木板に保定する。抵抗など部品は足を同じ長さに切断し、やすりで少し丸める。接着面を平らにするには、カッターで軽く削るのもよい。やすりを使いすぎると面が少し斜めになって、ジャンパーピンを長くつなげるとまっすぐになりにくいことがわかった。
   ジャンパーピン同士を結線するには切断した部品の”足”を利用する。長い場合はスズメッキ線を使う。ラジオペンチで逆U字型(約5㎜)に曲げてジャンパーピンの孔に挿入する。結線部分は、下で作製する「導通試験器」で必ず導通をチェックする。
⑦スズメッキ線:外径0.6m、210円/10m、秋月。
⑧半固定ボリューム:100kΩ、50円/個、秋月。
⑨熱収縮チューブ(スミチューブC 赤/黒)Φ1.5x0.2x1m、40円/本。 ⑩回路図は水魚堂の回路図エディタ”BSch3V”で作成し、その画面をPC上にできるだけ拡大して"PrtSc"する。次に、[Ctrl+V]で”ペイント”上に展開して必要部分を”トリミング”で切り取って"**.jpg"保存する。ちょっと面倒だが、こうすれば好みのサイズで”カラー”で使える(こんなことは皆さんすでにご承知のことなんだろうな・・・)。
⑪グラフ作製と計算は"Apache OpenOffice 表計算(Calc)"で行った。作成したグラフは”回路図”と同様、"PrtSc"→”ペイント”→”トリミング”→"**.jpg"保存する。
⑫画像はすべてiPhoneで撮影した。画像処理(明るさ、コントラストなど)した後メールでPCへ送信。この際、サイズダウン必要の有無を訊かれるので数百KB程度に縮小する。メールから"**.jpg"保存すればよい。

結果と考察

7-0 Trs 2 今回使うトランジスター2SC1815(NPN型)の三本足は、正面(平らで型番など記載。年寄の目には、ちときつい)から見て左からECBの順に並んでいる(”エクボ”と覚える)。この三又”エクボ”をジャンパーピンボード上に配置する。二通り、横一列と交差型、がある(左図)。ジャンパーピンの黒・赤・黄がE・C・B。このどちらかのパターンで回路を組んだ。

1.hfe測定器の作製

小さな電流(Ib)で大きな電流(Ic)をコントロールする、これがトランジスターの真骨頂だ。その比率(Ic/Ib)が電流増幅率(hfe)。例えば、hfe=200なら5mAをベースに流せばコレクターに1Aを流すことができる(5mAx200=1000mA)。今回使用したのは2SC1815L-Y。最後の-Yはhfeが120-240の範囲にあるとのこと(-GRなら200-400、-BLなら350-700) 。
7-1 hfe Kairo    で、実際はどの程度の増幅率(hfe)なのか?そして個体ごとの変動は?手持ちの2SC1815の11個を測定してみる。そして、このhfeはIbがどんなに大きくなっても変わらないのだろうか?という疑問もある。仮に、Ibに1A流すとするとIcは200A流れるか?そんなに大きな電流が流れるはずがないからどこかで飽和するはずだ(Icの値がそれ以上大きくならないところがある)。そもそもそも2SC1815のコレクターに流せる電流の最大値は150mAだ(データシート)。通常その半分くらいで使うらしい。この関係を確かめるにはIbを変化させてIcを測定すればいいはず。Ibを変えるにはベース抵抗値を変える。Ib、Icともにテスターで測りたいが一台しかない。Ibは計算で求められるので、テスターはコレクターと電源の間に直流に挟んでIcの値を直接読む(上回路図)。Ic(mA)をx軸に、hfeをy軸にとれば増加率の変化がわかる。Ibをx軸に、Icをy軸にグラフ化すれば率ではなくIbとIcの関係が直接分かるはず。
   まず、ジャンパーピンボードを組み立てる。トランジスターを抜き差ししやすくするため黒・赤・黄(E・C・B)を横一列に並べて一番右に置くようにする(下左図)。黄(B)にIbを決める抵抗を接続し、黄/赤(C)を電源(+)に、黒は(-)に接続。赤ジャンパーピン1個分抜いたところからリード線を出し、テスタでIcを測定する(下右図)。

7-1 hfe1 7-1 hfe-Tester 3










抵抗(kΩ)Ib (mA)Ic (mA)hfe
4700.0091.5163
1000.0223.2149
750.0578.2143
510.08412142
330.13018138
200.21528130
100.43050116
50.8438297
22.15014065
14.30015235
   今回、電源は5V(LR44、3個)、トランジスターのB/E間で0.7V消費されるのでベースにかかるのは4.3V。だから、Ib(mA)は”4.3(V)÷抵抗(kΩ)”で求められる。用いたベース抵抗は1~470kΩの10段階(左表)。これらの抵抗器でIbは計算値として0.009~4.3mA、Icは実測値として1.5~152mAまで変化した。その時のhfeは35~163(左表)。ベース抵抗が小さくなれば、当然電流(Ib)ば大きくなり、それに伴って増幅される電流(Ic)も大きくなる。この時Ibがある値以上大きくなると、Icの値がそれに比例しなくなってくるようだ(下グラフ左)。hfeはIc÷Ibだから、分子(Ic)が思うように大きくならなければその割合(hfe)は下降傾向を示すようになる(下グラフ右)。ベース抵抗33k~100kΩでhfeはおおむね140程度であった。
   このトランジスタの許容最大Ic値は150mAだからベース抵抗2kΩ以下ではコレクタ電流が大きすぎて、使用は”ちょい”危険だ。だから、トランジスター(少なくとも2SC1815)はベース電流がμA程度で使用するのがいいのだろう。この範囲程度であれば、IbがIcを比例的に増減して調整でき、想定通りにコントロ―ルできる。「始める電子回路」には、”トランジスタは飽和領域付近までドバっと開けて( LEDやモーターなどの)スイッチング使用、活性(比例)領域で増幅利用”とある。なるほど明解、納得。なお、抵抗値470kΩでのhfeが大きくばらついた。これは、アナログテスターでの電流の読みが非常に小さく(1.5mA)て読み取り誤差の寄与が大きくなり、しかも分母(Ib)が小さいのでhfeとしての値が大きくなったと考える。
7-1 Ic-Ib
   hfeはトランジスターの種類毎にも製品内でもバラツキがあり、同一個体でも温度やコレクター電流値などでばらつく。手持ちの2SCの11個のhfeをIb抵抗75kΩで測った。141±3(138-143) だった。データ・シート範囲内だったのでOK!

参考させていただいたサイト
始める電子回路 トランジスタ増幅について
古典回路屋(トランジスタとはどんな部品?)
トランジスタを使う上での基礎知識
トランジスタ回路の基本設計法など

2.LED点灯器

第6回では電流制限抵抗器のみでLEDの明るさ(電流値)を段階的に変化させた。ここではトランジスターのスイッチ機能を使ってやってみる。私のように電子工作”超初心者”にとっては、抵抗とトランジスターを使ってLEDを光らせる、なんて夢のようだった。”ようやく!”という感じ。
7-2 LED Kairo    左図がその回路図(一般的なのでサイト引用なし)。LEDは赤色を使用(第5回)。電源5V 、ベース抵抗(R1)200kΩ、B/E間に0.7V。∴Ib=(5V-0.7V)÷200kΩ≒0.022mA。一方LED側では、抵抗0.33kΩ、赤色LEDで1.6V消費。∴(5V-1.6V)÷0.33kΩ≒10.3mAのIcが流れている。赤LEDの許容最大電流は50mAだからクリアー。なお、hfe(Ic/Ib)は約470となるが、この回路(LED+抵抗)ではIcを規定するのは電流制限抵抗(R2)なのでhfeは関係ない(はず)。

7-2 LED-1

この回路のジャンパーピンボード上の各部品の配置は左図上の通り。できるだけ回路図に似るように、長軸方向に抵抗/LED/トランジスターを配置して、(自分なりの)見た目で回路を理解しやすくした。左図中央は電源と結線したもの(赤く点灯している)。電源につなぐスズメッキ線には(+/-)がよく分かるよ 7-2 LED-2 うにマジックで赤/黒に塗ってある。
   左図3番目に示したように、電源ボックスに赤ジャンパーピン2個を接着し、スイッチ”もどき”を作った。”赤”の真中の孔2個にピンヘッダを差し込み、LED側と結線する。もう一つのジャンパーピン(白)をそれに被せると線がつながることになり、点 7-2 LED Switch 灯する。"off"は白キャップを外し、ピンヘッダの片方の足だけに引っ掛けておく。そうすると無くすことなく必要な時にすぐに"on"できる。出来合いのスイッチに比べると多少不便であるが簡素な構造となるので一応(自己)満足。

ここまで作って、急に”調光”したいと思った。第6回では抵抗を一回一回替えて明るさを変えた。これじゃ、”らしく”ない。せっかくトランジスターも組み込んだのだから、ダイヤルか何かを”回して”無段変速で明るさ調整をしたい。この勉強を始めるときに秋月電子からたくさんの電子部品を買い込んだ。その中に「可変抵抗器」というのがあったのを思い出した。抵抗器の中に端子があり、ダイヤルを回すとそれが抵抗の上をスライドすることで抵抗”値”を無段階に変化させられる。ここでは~100kΩまで可変のものを使った。 7-2 Valuable 3本足が出ているが両端を使うと”可変”にならないとのことで、端と真中の端子を使った。「ジャンパーピンボード」法では半田付けを避けることを基本としている。そこで、抵抗器の足と配線用に必要な長さに切ったスズメッキ線との結線には熱収縮チューブを用いた。”可変抵抗器”本体は、そ
7-2 LED Valuable の底部に両面テープをたくさん重ねて貼って少し底上げし、固定した。激しい動きを伴う実用目的では”もってのほか”のやり方だろうが、ここでの程度の使用では何らの不都合は無かった。
   リード線の結合先は上図の電流制限抵抗器。スイッチ”もどき”をオンすると赤LEDが点灯した。ダイヤルを回すと明るさがスムーズに増減した。まったく”初歩的”だが、”ヤッター”という感じだった。しかし、可変抵抗の配線を平行に伸ばしただけだったので、ダイヤルを右に回すと暗くなってしまった。イメージとしては”右”で明るくなる方向なのだが・・・まぁ良しとしよう。モーター回転制御やLED調光は「PWM」法で行うのが正解らしいが、今後の宿題に残しておこう。

参考させていただいたサイト
Free Lab(半固定抵抗器)

3.導通試験器の作製

電気回路を作っているとちゃんと結線できているかをチェックするのはとても大事だとわかった。動作不良が配線ミスなのか、部品同士の接触不良なのかを調べなければいけない。この時、通常はテスターを使うのだが、電圧や電流も測定したいなと思っているとき、”導通”も使うとすれば、レンジ切り替えも含めダイヤルをガチャガチャ何回も回さなければならず面倒で不便だ。しかも、貰い物の古いアナログ・テスターは値が安定しないことがよくある(電池を変え、リード線根元を固定しても)。
   新しいデジタルを買おうかと思ったとき、ふと、LED点灯回路(上記)のベース抵抗と電源の間を切って、つまり、スイッチみたいにして、リード線で外に出せば”導通チェッカー”じゃないの?と思った。つながっていれば点くし、断線ならば点かないはず。そこで、実際に作って、銅線に当てたり外したりするとLEDが点いたリ消えたりして線がつながっているかどうかを容易にチェックできた。これでジャンパーピンボードで接触不良がないかどうかを簡単にチェックできるようになった。便利なものができた、としばらく使っていたが手のひらの内側に持ってしまうとLEDが点いているのかどうかよくわからず、不便だとわかった。
7-3 Dotsu Kairo    「じゃ、鳴らしてみたら?見えなくてもわかるはず」。”鳴り物”なら ”ブザー”と、検索してみると「発振回路内臓(難しい回路不要)」のものがあり即購入(PB04-SE12HPR)。早速、回路図を描いてみた(左図上)。初めて自分で考えたっぽいもの。トランジスターのスイッチ機能をコントロールするベース電流を切断することで”プローブ”として用いた。この”プロ 7-3 Dotsu 1 ーブ”に微量でも電流が流れれば増幅されてCE間にも電流が流れてブザーが鳴るという考え。ジャンパーピンボードを組み立て、部品を配置(左図下)した。ブザーが少し大きめでわかりにくいと思い、部品をはずして横に置いた画像を左図中に示した。プローブ(というほどのものじゃないが)を接触させると、”ビービー”と元気に鳴った。よっしゃ! なお、”プローブ”先端 7-3 Dotsu 2
にはピンヘッダで自作したキャップを被せてある。使用しないときのショートを防ぐためだ。ピンヘッダの足を熱収縮チューブで覆って作った。
   このブザーは最大電流10mA、3Vから動作する代物。使った電池は百均ライトからの中古。3個で3.4Vしかなかったが3V以上なのでOK。Icとして定格電流の半分(5mA)を流し、hfeは上記の実測値(140)より安全を見込んで200とする時のベース抵抗(Rb)の値を求める。まず、Ib=Ic÷hfe=5mA÷200=0.025mA。その時のRbは、(3.4V-0.6V)÷0.025mA=112kΩ。そこで100kオームの抵抗をRbとして使うこととした。
   本来、「導通試験器」は純然たる配線問題と半導体不導通(PN順方向接続)とが区別できるように低電圧、部品に悪影響を及ぼさないために低電流、が望ましいとされる。そのために回路も複雑となっている。しかし、ここでは単純に配線がうまくいっているかをチェックするだけなので簡単なものでOKとした。”導通”を単一機器とし、ダイヤル操作もないのでとても便利になった。

参考させていただいたサイト
masahiro's electronic lab 回路図エディタBSch用ライブラリ
  (回路図ブザーの記号。利用させて頂き、ありがとうございました。)
電子工作の部屋 導通チェッカーと電子回路の基礎知識(1)
ELM 回路内導通チェッカなど

ジャンパーピンボードもブレッドボード同様、3本足部品(トランジスタ/半固定抵抗)をちゃんと回路に組み込めた。しかも、”ちいさなもの”ができる。だから、使わない”余白部分”の多いブレッドボードの”大きさ”を考えると、ジャンパーピンボードの方がより実用性があると思う。
   今回は三つの”作品”を作って残してある。「導通器」は日常使用、「LED」は時々点灯して遊んでいる。「hfeチェッカー」は次にトランジスターを買ったらそのロットを調べてみるつもり。ブレッドボードならこうは行かないだろう。一旦組み込んで納得すれば次の学習のために部品を外さなければいけないから、”作品”を残していけない。これが初めの頃述べたブレッドボードの弱点だ。
   さらに”足”数の多い部品への適用を図り、ちょっと難しそうな回路に挑戦して応用範囲を広げ、ジャンパーピンボードの実用性を示していきたいと思う。

ページトップへ

次回は三端子レギュレータを用いた9V→5V電源にトライします。

<<6.回路電流値とLEDの明るさをCdSで測定|TOP|8.未定>>

Copyright © NTakGoma Corp. 2016. All rights reserved.