電子工作初心者がジャンパーピンで回路作成

 8. 三端子レギュレータで9V→5V電源を作る

はじめに

前回使ったトランジスターと半固定抵抗器、足が三本あるから”三端子”と言っていいのだろうか?今回は「三端子レギュレータ」をジャンパーピンボードに組み込んで見ようと思う。というのも、この部品は定電圧電源用として電子回路によく使われるからだ。それに、同じ三本足と言ってもトランジスターとは形状も足の機能配列も異なる。これがうまく組み込めなければ「ジャンパーピンボード」は”ダメ”だ。

「三端子レギュレータ」とは?『入力電圧を降下させて安定した出力になる電源IC』(始める電子回路)。入出力差の電圧、このエネルギーはどこにいくのか?この部品の中の複雑な構成が、その”差”を”熱”として放散するらしい。そのため電圧差が大きいとか使用電流が大きい時は放熱板をつけて冷却しないといけない。消費電力(熱)=電圧×電流だから、発熱量も大きくなる。入力電圧は出力電圧より3V程度高い必要もある。”熱として捨て”て電圧をさげる?んーちょっともったいない気もするが・・・。しかし、欲しい電圧を簡単に調製できる機能は有用だからこそ汎用されてきているのだろう。ここでは9V電池で5V定電源を作る。

8-1 317P

さて、「三端子レギュレータ」本体の形や大きさは?小さな半円柱に三本足のトランジスターより大きくてごつごつした感じ。頭は長方形(1×1.5cm)で放熱板を取り付けるための孔が開いている。足間は2.4mm(中央)で、足は太い(約1mm、左図)。機能的には、出力電圧固定型と可変型がある。固定型は本体の入出力側に各1個コンデンサーを接続するだけの簡単な回路。可変型は固定型に電圧設定用抵抗器を加える。固定型の型番は78xx、5V出力なら”7805”となる。可変型では”317”と表記される。それに各メーカーにより異なる名称が付く。ここでは可変型LM317Pを使う。例によって、足に名前がついている(固定/可変型で配列が違う。ややこしい。統一してくれたらな・・)。型番を見て左から、Adj/Vout/Vin。Vinは入力電源(+)に接続。VoutとAdjは二つの抵抗器と共同して様々な電圧を出力する。

LM317は入出力電圧差3~40Vで、出力電圧1.2~37V・出力電流1.5Aを供給できる”強者”。しかも構成はそんなに複雑じゃない。抵抗二つとコンデンサー二つ。電流値設定抵抗R1は本体直近、GND端子抵抗R2はGND近くに置く。出力電圧を可変する原理は次の通り(下図)。
8-2 LM317 V    LM317のVout/Adj間には1.25Vが正確に出力されている。そこに抵抗R1を設置すると所定の電流が流れて1.25V低下する。この電流(I=1.25/R1)がさらに下流のR2で電圧を下げる。V=IxR2=(1.25/R1)xR2。この二つを足すと、1.25x(1+R2/R1)となり、抵抗器の値に関係なくその比で決まる電圧が降下することとなる。例えばR1=100Ω、R2=300Ωとすると出力電圧は1.25x(1+300/100)=5Vが得られる。Adjからも微量電流(0.1mA)が出るが、これは無視するものとしている。
   二つのコンデンサーは、長い配線とか微量の交流成分による”発振”(むつかしい)などを防いで性能を向上させる、とのこと。入力側には0.1μFセラミック(又は1μFタンタル)、出力側には1μFタンタル(又は25μFアルミ電解)が推奨されている。原則は推奨値以上の容量のコンデンサーをレギュレータ―の足直近に設置すること。また、出力に大容量負荷を接続するときなどはダイオードを追加して逆流を防ぎ、本体を保護することが推奨されている。

材料と方法

①可変三端子レギュレータ:LM317P(100円/2個)。出力電圧;1.2V~37V可変(入力は出力よりも約3V以上高いこと)、最大出力電流;1.5A(放熱の制約で変化)。
②抵抗(1/4W炭素被膜):50Ω、100Ω、200Ω、330Ω、47Ω、510Ω、1kΩ、2kΩ。
③積層セラミックコンデンサー:絶縁ラジアルリード型 0.1μF(小さくて見づらいが"104"と表示)、50V(100円/10個)。高周波特性に優れている。
④アルミ電解コンデンサー:33μF、50V(10円/個)。
⑤電池:9Vアルカリ電池 6LR61(100円/個。百均で購入)
⑥ジャンパーピン:縦6mm、横5mm、幅2.4mmの小さなプラスチック片。外装はグラスファイバーを含むポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂。2つの貫通孔(2.54mm間隔)があり、内部は真鍮を本体とする金属で繋がっている。1セットで6色。黒、赤、白:各50個づつ。青、黄、緑:25個づつ。450円/225個(2円/個)。秋月電子。
⑦スズメッキ線:外径0.6mm、210円/10m、秋月。
⑧熱収縮チューブ(スミチューブC 赤/黒)Φ1.5x0.2x1m、40円/本。
⑨電圧測定:アナログテスター"CUSTOM CX-140"(カスタム社製)。
⑩回路図作成:水魚堂の回路図エディタ”BSch3V”
⑪グラフ作製と計算:"Apache OpenOffice 表計算(Calc)"
⑫画像:iPhoneで撮影後画像処理(明るさ、コントラストなど)、メールでPCへ送信。この際、サイズダウン必要の有無を訊かれるので百KB程度に縮小する。メールから"**.jpg"保存する。
⑬回路図・グラフ・表の保存法:"PrtSc"→”ペイント”→”トリミング”→"**.jpg"保存。すなわち、対象とする画像をPC上にできるだけ拡大して"PrtSc"する。次に、”ペイント”を開けて[Ctrl+V]で展開する。説明文などを加え、必要部分を"選択"して"トリミング"で切り取って"**.jpg" 保存する。ちょっと面倒だが、こうすれば図表をHPに組み込みやすくなる(こんなことは皆さんすでにご承知のことなんだろうな・・・)。

結果と考察


1.ジャンパーピンボード作製

第7回でも述べたように、基本はジャンパーピンの接着面に残っている"バリ"をやすり又はカッターで軽く平らにし、瞬間接着剤で"くっつき虫"のように伸ばしていくこと。強く擦ると面が少し斜めになるので、たくさん繋ぐとまっすぐになりにくい。接着剤を塗ったあと、定規などで"足"位置を揃えればまっすぐしやすい。ジャンパーピンは軽くて小さく、厚みは2.4mmしか 8-3 Units ない。だから、すぐ倒れる。いくつかジャンパーピンをくっつけて"ユニット"を作ってみたが(左図)、この程度の大きさになるとしっかり自立する。しかし、軽いので何かに保定していないと部品挿入や配置などのときに不安定で、多少"イラつく"こともある。どう固定すれば一番効果的か、いつも悩む。"ジャンパーピンボード"法の短所だ。"ブレッドボード"はどっしりとしているのでこの問題はない。だが逆に、小さな回路でもブレッドボード1台を使うので、実用品としてはかさばってしまう。ジャンパーピンボードでは、出来上がりがとてもコンパクトだ。しかも、部品の電子機能をどううまく"ユニット化"するかという電子"工作"の面でも面白い。これはメリットだと思う。いずれにせよ、ブレッドボードのように誰でも簡単に(部品を挿して線でつなぐ)、思い立ったらすぐ回路が組める、そのような方法が望ましい。今のところは、ある程度の大きさの"ユニット"ができればプラスチック小片上に接着して固定し、そこから伸ばして"ブロック"とし、全体を作るという方法を取っている。欲を言えば、接着剤不要で、接合面に凹凸とか"ミゾ"を作り、差し込んで簡単に連結・分岐できるようになればいいな・・・と思う(メーカーさん、考えてもらえないでしょうか)。

通常、回路図は電流が左から右へ、上から下へと流れるように書くとされる。だから、"ボード"も回路図に似た部品配置にしたい。そうすると見た目に分かりやすく、後で学習しやすいはずだ。"端"から順にくっつけていくのも"あり"だが、上図"ユニット"例のようにまず主要なあるいは特徴的な部品の配置を決めてから周辺を埋めていく手もある。その際、配線をどうするかも同様に重要だ。配線が"クモの巣"のようになって、行き先を辿らなくてはいけない、というのは避けたい。ジャンパーピンは一旦接着しても簡単に離すことが可能だから、より良い回路を作るには何回か構成しなおせばよい。実験で部品を何回か抜き差しするなら、スペースに余裕をもって配置すればよい。

8-5 Pin Inside 見にくて申し訳ないが、左図の黄色ジャンパーピンと取り出した金属部(右端)を見て欲しい。ジャンパーピンには"穴"が三つある。左右の"穴"と、それに挟まれてできる"スキマ(黒塗りスズメッキ線を挿入)"だ。"穴"には部品の"足"や逆U字型に曲げた銅線などを挿入して隣接ジャンパーピン同士を物理的・電気的につなぐ。その"穴"の下部は狭くなっていて部品の細い"足"もしっかり捕捉して電気的接触不良は起こりにくい。
   回路には必ず分岐点がある。三叉もあれば四叉もあろう。このような分岐点では複数の電線を一つのジャンパーピンに集約する必要がある。細いものだと一つの"穴"に2本挿入は可能だが、やや太め(0.6mm)のスズメッキ線や三端子レギュレータのように太いものなら2本はきつい。そのような場合は上で述べた"スキマ"を使いたい。だが、"穴"より幅広のため"ゆるゆる"でしっかり固定できず、電気的接触が不安定となる。アルミホイルや銅線などでこのスキマを埋めてぴったり接触させることも考えられるが、なんとなく煩わしい。簡便性を目指す"ジャンパーピンボード"としてはよくない。
   そこで、スズメッキ線などの端をしっかり曲げた後、上を少し離して"バネ"状にして挿入してみた(上図中央と右端。黒塗りリード線で判りやすくしている)。すると、この"スキマ"によく保定されることが分かった。電気的接触も問題なかった。しかし、これでもやはり多少面倒だ。これからもより簡単な"分岐点での結線"の方法を考えていきたい。なお、この分岐を含む回路では前回作製した「導通試験器」で必ず導通の有無を確認している。
   8-4 Block そうして作った可変型定電圧回路ジャンパーピン"ブロック"を左図に示した。LM317用ユニット(中央の縦に赤/黒/白)の左右にコンデンサーと抵抗を配置するためのジャンパーピンを伸ばし、スズメッキ線で結線している。左端の赤/黒ユニットは電源と接続する。右端ユニットは定電圧出力端子となる。
   多少見にくいが、左にある青いのはスイッチとして使うもの。ピンヘッダ(黒)を回路入力側の1個目と2個目のジャンパーピン(赤)に差し込む。それに青ジャンパーピンを被せれば"ブリッジ"となってスイッチ・オン、外せばオフとなる。

2.LM317可変型定電圧電源作製

上図"ブロック"に部品を差し込み、電源やスイッチなどを配置し小木片に固定し、9Vを降圧して5Vにする定電圧電源を作った(下図)。電源は9Vアルカリ電池、三端子レギュレータは出力可変型LM317P、その直近の入力側には0.1μFセラミック、出力側には33μFアルミ電解コンデンサー(推奨値25μF)を組み込んだ(上回路図参照)。

8-6 5V Left Up 8-7 5V Side 8-8 5V Right Up

LM317PのVout/Adj端子間に接続するR1(電圧設定用抵抗:推奨240Ω)は100Ω、R2は300Ω(100Ωと200Ωを連結して合成)とした。出力電圧は1.25x(1+R2/R1)だから、こうすれば手持ちの抵抗器で丁度5Vが得られるはずである。この時流れる電流は1.25V÷0.1kΩ=12.5mA、全電源電圧9Vがかかったたとしても消費電力は9V×12.5mA≒0.1W。大きな負荷をかけないなら発熱は問題ない。
   作ったジャンパーピンボード定電圧回路が正常に動作して所定の電圧が得られるかどうか?スイッチを入れ出力端子で電圧測定(テスター)したところ、丁度5Vが得られ、定電圧電源として使えることがわかった。比較的簡単に作れた。よかった、めでたしめでたし。でも、これはLM317の中身がたくさんのトランジスター・抵抗・コンデンサーでできた優れた構成をしているからこそ"製作"が容易なのだ。開発された方・メーカーさん、ありがとう。これを使って電子回路をもっと勉強しよう。

次に、LM317の特徴、電圧可変性はどうか?下表のようにR2抵抗器を種々変更して出力電圧を測定した。表には電圧の実測値と計算値を掲げ、右にR2抵抗値と出力電圧の関係をグラフ化した。

R2(Ω)実測値(V)計算値(V)
502.31.9
1002.92.5
2004.03.8
3305.65.4
4707.27.1
5107.27.6
10007.313.8
20007.426.3
8-9 R2 vs Output

   抵抗値を50Ωから470Ωまで変化させると、それにきれいに比例した出力電圧が得られた(y=0.00117x+1.711、r=0.9999)。予想以上に正確な電圧変化だった。低電圧域では計算値より高い値を示した。回路としての"ジャンパーピンボード"自体がある程度の抵抗器として働き(R2として作用)、その影響が低電圧域で顕著に表れているのかもしれない。
   R2を510Ω以上大きくしても7.2V程度以上は上昇しなかった。定格表にあるように、LM317Pは入力(9V)より3Vほど低い電圧しか出力しない。だから、これでOK。計算上は2kΩ(26V)までは直線性があった。

参考させていただいたサイト
始める電子回路 3端子レギュレータ
3端子レギュレータ"LM317T"を可変電圧回路として動作
radio1ban 電子工作入門~3端子レギュレータとは?
LM217 1.2V to 37V adjustable voltage regulators. Download Datasheet DS0433

太めの"足"、三端子レギュレータもジャンパーピンボードに組み込めた。しかも9V角型電池の上にチョコンと乗る程度の大きさだ。ブレッドボードならこうはいかない。どうしてもかさばってしまう。
   ただ、"分岐点"でどう簡単・確実・効率的に配線するか、ということが未解決だ。また、ここまでいくつかの"ジャンパーピンボード"を作ってきて、やはり、「接着剤でくっつける・くっつくまで待たねばならない」というのは"ブレッドボード代替品"にというには、ちと弱点だと思う。自分的にはDIYとして面白いのだが・・・。「レゴブロック」のように、次々はめ込んで作れるようになればいいな。

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次回はオペアンプLM358、クモの足のような"4対8本の足"に挑戦予定。

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