電子工作初心者がジャンパーピンで回路作成

 9. LM358 4対8本足のオペアンプを組み込む

はじめに

前回までに2本足の抵抗器・LED・コンデンサー・ CdS、3本足のトランジスター・半固定抵抗器・三端子レギュレータなどをジャンパーピンボードにうまく組み込めることを示してきた。今回は、クモの足のような"4対8本足"を持つオペアンプLM358にトライする。
9-1 LM358 Inside  LM358は高利得・周波数補償オペアンプを2個独立に内蔵(むつかしそうだな・・・)。1個のアンプは3本足(出力と二つの入力端子、V(+)非反転、V(-)反転)、それに電源/GND(共用)計8本のピンが出ている(左図。上に丸い切れ込み、左回りにピン番号1→8)。使える電圧は幅広く(3V~32V、通常5V)、消費電流は0.5mAと少ない。
   LM358はどんな働きをする?それは"比較器"と"増幅器"。二つの入力端子での電圧差を感知し、どちらが大きいかで出力をカクンと切り替える。たとえ僅かでもV(+)>V(-)なら5V、V(-)>V(+)なら0Vを出力する(実際は少し異なる)。小差→大差、これ"増幅"。その倍率が大きいので"高利得"。5mV差を5Vに出力すれば1000倍の増幅となる。電流の面からは、入力時は僅かな電流で済み、出力時は大きな値を出せる。センサーなどからの小さな信号を見逃すことなくキャッチし、大きくして次に繋ぐという仕事ができるのだ。半固定抵抗を使って入力電圧を種々変化させて出力電圧の変動を観察し、コンパレータとしてのLM358の機能を学習する。
    電源として前回とは異なる三端子レギュレーターの電圧固定型L7805で5Vを調製した。

材料と方法

①2回路入り単電源動作オペアンプ:LM318N(100円/5個、秋月)。動作電圧;3V~32V(単電源)、8ピンDIPパッケージ。足幅0.5mm以下と狭い。
②三端子レギュレーター:L7805CV-DG(30円/個、秋月)。入力電圧範囲 8~20V、出力電圧 +5V固定、出力電流 1.5A。
③抵抗(1/4W炭素被膜):10kΩ。
④半固定ボリューム VR: 10kΩ([TSR-065-103R]、100円/5個、秋月)。
⑤積層セラミックコンデンサー:0.1μF、50V(100円/10個、秋月)。
⑥アルミ電解コンデンサー:47μF、35V(10円/個、秋月)。
⑦電池:9Vアルカリ電池 6LR61(100円/個。百均で購入)
⑧LED:ELPA HK-LED5H(R)。赤、直径5mm、330Ω抵抗器付、約200円/5組(ホームセンターで購入)。
⑨スズメッキ軟銅線:外径0.5mm、TCW-0.5 L-10、267円/10m、共立。
⑩丸ピンICソケット:シングル20P(80円/個、秋月)
⑪電圧測定:デジタルテスター"CUSTOM CX-140"(カスタム社製)。
⑫ジャンパーピン、熱収縮チューブ、画像・回路図・グラフ・表など:詳細は第8回などを参照してください。

結果と考察


1.ジャンパーピンボード作製

9-2 Leads 358&pre-setR 今回の問題点はLM358と半固定抵抗器を十分に保定(物理的・電気的)できないことだった。これらをそのままジャンパーピンに挿入した場合、見た目固定されているのだが少しの力で外れたり、電気的に接触不良を起こしたりした。その原因は足が”短くて薄い”ためだ(上図)。LM358の足は長さ3mm・幅0.5mm・厚さ0.2mm、半固定抵抗は3.5mm・0.8mm・?しかない。一方、ジャンパーピンで確実に保定するには部品の足は5mmの長さが必要だった(秋月電子掲載各部品のデータシートおよび実測)。これじゃしっかり挟めないはずだ。そこで、足を長くする(アルミニウム管を繋いでペンチでかしめる、熱収縮チューブでスズメッキ線を繋ぐ)、ジャンパーピン内金属部を引き上げて接触可能部を大きくする、ジャンパーピンの上下を逆にして幅が狭い部分で部品の足を挟む、などを行ったが面倒な操作の割には効果的ではなく、ジャンパーピンボードの謳い文句"簡便性"とも相容れなかった。これらを組み込めなければ、ブレッドボードに対しての「独自性」は主張できなくなってしまう。

9-3 LM358 Unit 9-4 Variable R Unit では、どうする?部品の足が”短くて薄い”なら、ジャンパーピン内金属部とのスキマを"深く狭く"する、つまり何かを詰めて相互の接触面積を大きくすればいいのでは?手っ取り早いのはスズメッキ線だ。Φ0.5mm線を約1㎝に切って逆U字型にしてジャンパーピン内に装置し、部品を挿入してみた(上図。スイマセン、ちょっと見えにくい)。そうすると、意外にうまくいった。LM358は指でグッグッと押してみてもしっかり固定されており、導通も安定していた。半固定器は回転させてもガタガタしたり外れたりせず、抵抗値もスムーズに増減するようになった。操作はメッキ線を曲げて切ってはめるだけだから簡単で再現性も良く、”短くて薄い”足の部品問題をクリアできた。

今まで、配線に銅線(外径0.55㎜)やメッキ線(0.6㎜)を使ってきたが、銅錆による導通不安や小さなジャンパーピンボードに対して0.6mm配線はちょっと"重い感じ"などがあったので、今回はメッキ線でその太さも検討していた(0.32、0.4、0.5㎜)。その結果、0.32mmでは細く柔らかすぎて挿し込み・配線時に強度不足だとわかった。0.4mmは使用可能だったが、0.5mm線の方が太さと配線しぐあいがよかったのでこれを採用した。また、思わぬ副産物もあった。ジャンパーピンの”穴”にこの太さの線が2本あるいは抵抗器などの足と同時にスムーズに挿入できることもわかり、前回のどのように”分岐点”を作るか?の課題解決のヒントともなった。0.6mm線では注意しないと部品の足を曲げてしまうことがあった。

ジャンパーピンは小さな透明プラスチック片に固定して機能別に”ユニット”化した。上図左はLM358用"ユニット"。通常、縦長に接続するジャンパーピンを横に4個つなげて1列とし、2列で1組とした。片側の"穴"にLM358の足を挿入し、残りの"穴"は配線に使う。赤色部分には8番ピンを、黒色には4番ピンを挿入、それぞれ電源+/-に接続する。上図右のユニットは電源分圧抵抗用(黄)と半固定抵抗用(青)。これもジャンパーピン3個を横に繋いで1・2番ピン用とし電源+/-に接続する。縦に2つ繋いで3番ピン用としLM358の入力端子につなぐ。他にLED点灯ユニットも作成した。これらユニットを配置・結線(0.5mmスズメッキ線)して回路を構成していく。

2.電源作製(9V→5V)

9-5 Dengen 今回の電源は、前回の電圧可変型三端子レギュレーター(LM317)をちょと変えて、固定電圧型L7805CVを使って9Vから5Vを作った。電圧変更用抵抗器2個が不要なため簡素な回路構成にできるメリットがある。見にくいが、L7805左側の赤/白ジャンパーピンにはピンヘッダを差し込んで、スイッチとして使う。白ジャンパーピンをかぶせると導通してONになる。赤黒ビニール線の先端はスズメッキ銅線を繋ぎ、次の回路への電源供給をしやすくした。また、不使用時には”ショート”を防ぐため、ICソケットの足を熱収縮チューブで覆った自作"キャップ"を被せる。
   この5Vを作成する前は1.5Vx4を使って検討していた。ある時プラスチックが焦げるような妙なにおいに気付いた。アッと気づいたときは遅かった。電池ボックスの一部が溶けていた。接触しないように気を付けて電線は離しておいていたが、何かを動かした際に接触してしまっていたのだ。事故は無意識の思わぬ時に起こる。「スイッチOFFと電線先端のキャップ」を教訓とした。
   手持ち中古のアナログテスターは不安定で細かな電圧測定がちとむつかしかった。今回は細かな電圧変化を測りたい。そこで、買っちゃいました、安物ですが、デジタルテスター(Custom M-04)。早速作製したL7805-5V電源の電圧を測ってみました。"キャップ"を外してテスター接続、"スイッチ"ONで速攻5.02Vを表示。L7805電源もテスターもOKだった。アナログテスターでは針の太さで小数位を推定していたが、デジタルなら数字でスパッと出してくれる、なるほど便利でわかりやすい。

3.コンパレータ基本回路

9-6 LM358 Circuit さてコンパレータ、まずピン8と4を電源に接続して"エネルギー注入"、LM358を使用可能状態とする(左図&下図)。基準とする電圧は電源5VをR1とR2(各10kΩ)で等分して2.5V。これを3番ピン・非反転入力端子V(+)に導入する。試験する電圧はVR(~10kΩ可変抵抗)で種々作り、2番ピン・反転入力端子V(-)に加える。コンパレータの働きからすると、V(-)が2.5V以下[V(+)-V(-)>0]なら出力(Vout)は5VでLEDが赤く点灯し、2.5V以上[V(+)-V(-)<0]なら0V、を示すはず。

9-7 LM358&LED 回路図をジャンパーピンボードに具体化したのが左図。左端の赤黒ユニットはL7805電源に接続。まず、抵抗分圧がうまくいっているかどうか?基準電圧(3番ピン)が本当に2.5Vかチェック。R1/R2はともに10kΩだから電圧は二分されるはず。分圧用抵抗器(黄色ユニット)にテスター棒を当て測定。2.49Vだった。抵抗器の誤差を考えるとぴったし半分、いいんじゃないすか。アナログテスターならこの数字は出ない。次いで試験電圧のチェック。可変抵抗器(VR:~10kΩ)の白色のボリュームに小さなドライバーを挿して左右に回して電圧測定。スムーズに0-5.02V間で動いたので問題なし。これで両入力端子に適切な電圧を加えられる。

LEDユニットもつないでVRをグルグルと回転。すると、赤色LEDがパッと点いたり消えたり。じわじわとではない。VRだけなら明るさはじわっと変わるはず。だから、この結果はLM358が試験電圧に呼応してONかOFFかどちらかの状態だけを出力している、といえる(と教科書に書いてある)。謂わば"スイッチ"のような働き方だ。コンパレータLM358の機能が正常に動作していてほっとした。”ジャンパーピンボード”上でもその機能が発揮できることが初めて実証されたのだから。さて、LED点灯時の電圧は3.41V、消えているときは0V。LEDを外したときは3.69V。ありゃ?電源電圧5.02Vが出力されるはずじゃないの?どうして?「このオペアンプの最大値→理想的には電源電圧なのですが、オペアンプによって多少違います(始める電子回路)」とあった。。。いつかその理由がわかるようになろう。

さて、実験。LEDは外して、テスターの黒棒を電源(-)[GND]にワニ口クリップで固定し、赤棒をピン2に接触して数値を見ながら試験電圧を下から上へ、上から下へ少しずつ変えた。その都度、赤棒をピン1に変えて出力電圧を測定、試験電圧が何ボルトで出力が切り替わるかを観察。その結果が下図。 9-8 LM358 Vol Property 左図(2V→3V)では試験電圧が2.51Vで出力が0Vに、右図(2V←3V)では2.49Vで出力3.69Vにすとんと切り替わった(0.02Vの差は如何ともしがたい、手で回してはなかなか調整できない)。すなわち、試験電圧は変化の方向(上↓下↑)に関係なく、基準電圧とどちらが大きいかだけを比較され、ごく僅かの差でもあれば出力をONかOFF(中間値を経ることなく)を決定している、ということ。これぞコンパレータの働き。
   0.01Vの入力差が3.69Vとなって表れる、369倍増幅だ、高利得なのだ。 でも、この電圧範囲が”ノイズ”だったら?と考えると、出力は上下に乱舞して収集がつかなくなる。ご心配なく!シュミット回路というのがあるそうだ。出力端子・基準電圧端子間に抵抗を架けると、出力を変化させる試験電圧に少し幅を持たせることができる。それで安定して出力が得られるらしい。この回路に受光素子(CdS)とLEDを組み合わせると、夕方になると”すー”と(バタバタじゃなく)点く明かりができるとのこと。いつかジャンパーピンボードで作ってみよう。

参考サイト
・始める電子回路: オペアンプ基礎回路、 動作する回路を作るhttp://startelc.com/elc/Works/elc_W_CdsCmp.html
・電子回路設計の基礎:コンパレータ(比較器)
http://www.kairo-nyumon.com/practice_comparator.html
・寺子屋みほ
https://terakoyamiho.wordpress.com/ %E3%82%A2%E3%83%8A%E3%83%AD%E3%82%B0%E5%9B%9E%E8%B7%AF/
・LM358/LM2904 National Semiconductor 低消費電力デュアル汎用オペアンプのデータシート
・エレキジャック(連載キットで作る OPアンプによる信号増幅回路について): http://www.eleki-jack.com/KitsandKids2/2007/11/op52.html
・radio 1 ban (電子工作入門~3端子レギュレータとは?): http://radio1ban.com/bb_regu.htm

”短くて薄い”足・コンパレータLM358&半固定抵抗器、"太め"の足・三端子レギュレータL7805もジャンパーピンボードに組み込めた。前回課題となった「"分岐点"でどう簡単・確実・効率的に配線するか」は、0.5mm線導入でうまく行くことがわかった。他にも違った形の電子部品があるかもしれない。その都度工夫して、ジャンパーピンボード法の有効性を検証していきたい。

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次回は、"4対8本足(2)"・タイマーIC LM555に挑戦予定。

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